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【2026年版】J-クレジット・JCM・海外クレジット比較|購入前チェック

2026 11/06
J-クレジット
2026年10月31日2026年11月6日
【2026年版】J-クレジット・JCM・海外クレジット比較|購入前チェック
監修増山 大知(カーボンリンク株式会社 代表取締役)

カーボンクレジットの調達でグリーンウォッシュを避けるには、クレジットの名称だけでなく、制度の根拠、削減量の算定、二重計上を防ぐ仕組み、無効化の証跡を確認します。

J-クレジット、JCMクレジット、海外クレジットはいずれも温室効果ガスの削減・吸収量を表すクレジットですが、発行主体、利用できる制度、国際移転の扱いは異なります。

本記事では、需要家が購入前に比較すべき項目と、環境表示の根拠をそろえる手順を整理します。環境表示ガイドラインの考え方を踏まえ、社内稟議から公表まで確認すべき資料を示します。

この記事では、制度の違い、候補案件の資料、購入後に残す証跡を比較・整理するための項目を示します。

目次

この記事を読むとわかること

  • J-クレジット、JCM、海外クレジットの制度と用途の違い
  • グリーンウォッシュにつながりやすい表示と、確認すべき根拠
  • 需要家が購入前にそろえる排出量、対象期間、利用目的
  • 発行、移転、無効化、相当調整を確認する実務手順
  • 購入後の開示と社内レビューで残す証跡
カーボンクレジットの選定条件を無料で相談する

カーボンクレジットを選ぶ前に決めること

グリーンウォッシュはクレジットの種類だけでは判断できない

「国の制度だから安全」「海外の認証だから信頼できる」と、制度名だけで環境主張の正しさを決めることはできません。

同じ制度の中でも、プロジェクトの方法論、対象期間、削減量の算定、クレジットの状態によって確認すべき資料が変わるためです。

グリーンウォッシュを避ける出発点は、購入するクレジットと、広告や報告書で伝える環境主張を一つの記録に結び付けることです。

需要家が先に固定する三つの目的

最初に「何を達成するために買うのか」を文章で固定します。目的が違えば、必要な制度適格性と証跡が変わるからです。

  • 排出量報告:温対法、サプライチェーン報告、社内の排出管理に使う
  • 環境表示:製品、サービス、イベントの排出量とオフセットを説明する
  • 気候投資:削減プロジェクトへの資金提供と地域への便益を開示する

「実質排出ゼロ」「カーボンニュートラル」といった表現を使う場合は、対象範囲と算定期間を明示します。購入目的を決めずにクレジットを先に選ぶと、後から用途に合わないことが判明し、無効化や表示をやり直すことがあります。

例えば、工場のScope 1とScope 2だけを対象にしたクレジットを、製品のライフサイクル全体を相殺したかのように表示するには、追加の算定と根拠資料が必要です。対象範囲を広げる場合は、どの排出を含めたかを明示します。

社内稟議では、目的、対象範囲、算定期間、利用する制度、公開予定の表現を一つの表にします。部署ごとに別の定義を置かないことで、購買部門の契約条件と広報部門の表示文を一致させられます。

環境表示と排出量報告は別の説明にする

排出量報告は算定境界、活動量、排出係数、算定年度を説明する作業です。一方、環境表示は、製品やサービスにどの環境上の効果をどの条件で帰属させるかを説明する作業です。

一つのクレジットを購入しただけで、製品そのものの排出が消えたと表現できるとは限りません。削減努力、算定方法、クレジットの利用を分けて説明し、読者が因果関係を追えるようにします。

出典:環境表示ガイドライン|環境省

需要家が目的、制度、根拠、条件、無効化と開示の順に購入判断を進める全体経路
需要家の購入判断は、目的、制度、根拠、条件、無効化と開示の順に確認します。

J-クレジット・JCM・海外クレジットを比較する

J-クレジットは国内の削減・吸収を認証する制度

J-クレジット制度は、国内で実施された温室効果ガスの排出削減や森林などによる吸収を、国が認証する仕組みです。省エネルギー、再生可能エネルギー、森林管理など、方法論ごとに算定とモニタリングの要件が定められています。

需要家は、クレジットのプロジェクト情報、認証番号、発行量、保有者、利用目的を確認します。登録簿での移転や無効化の記録が残るため、国内の報告や環境表示で証跡を組み立てやすい点が特徴です。

ただし、制度に登録されていることは、あらゆる表示を無条件に認める意味ではありません。対象製品の排出量とクレジット量の対応、対象期間、表示文の範囲を別途確認します。

出典:制度概要|J-クレジット制度

JCMは日本とパートナー国の二国間制度

JCM(Joint Crediting Mechanism、二国間クレジット制度)は、日本の脱炭素技術や資金を海外のプロジェクトに活用し、排出削減・吸収の成果を両国で分けて扱う制度です。プロジェクトは日本と相手国の政府間の枠組みで運営され、測定・報告・検証を経てクレジットが発行されます。

パリ協定6条2項に関係するクレジットを国際的な目的に使う場合は、相当調整などの会計処理が論点になります。需要家は、プロジェクトの制度区分、発行主体、移転の許可、相当調整の扱いを資料で確認します。

JCM案件の候補紹介や取引条件の整理は、専門事業者に相談できます。ただし、監査、デューデリジェンス、申請、PDD、MRV、検証、発行、適格性保証まで代行するかは、相談先の業務範囲を確認してください。

出典:JCM(二国間クレジット制度)|環境省

海外クレジットは標準と市場区分を切り分ける

海外クレジットには、国の制度に基づくコンプライアンス市場向けの単位と、民間標準や認証プログラムを通じて流通するボランタリー市場向けの単位があります。外部の認証名だけでは、需要家の報告制度や表示目的への適合性は判断できません。

確認対象は、発行プログラム、方法論、プロジェクト所在地、クレジット期間、第三者検証、登録簿、無効化の仕組みです。国際移転を伴う場合は、ホスト国の承認、二重計上を防ぐ調整、利用先の制度要件を順に確認します。

プロジェクトがもたらす地域便益や生物多様性への効果は、温室効果ガスの削減量とは別の主張です。両者を一つの「環境に良い」という言葉にまとめず、根拠を分けて提示します。

出典:Article 6.2 Reference Manual|UNFCCC

三つの制度を共通項目で比較する

比較項目 J-クレジット JCM 海外クレジット
主な対象 日本国内の削減・吸収 日本とパートナー国の協力案件 海外の制度・民間標準の案件
制度の確認 J-クレジット制度の方法論と認証 二国間の制度文書と合同委員会 発行プログラムと方法論
国際移転 原則として国内制度内で確認 移転条件と相当調整を確認 ホスト国の承認と調整を確認
取引の見方 登録簿、相対取引、市場情報 案件ごとの契約と配分 標準、レジストリ、仲介条件
購入後の中心証跡 無効化通知、認証番号 発行・移転・無効化の記録 レジストリ記録、無効化証明、承認資料

価格だけを横並びにして選ぶと、利用できる制度や公表可能な情報が不足することがあります。比較表の項目を稟議書と契約書の確認欄に移し、候補ごとに空欄を残さない方法が実務的です。

候補を三制度から選ぶときは、まず用途に対する適合性で絞り、次に証跡の入手性、最後に費用と納期を比較します。順番を逆にすると、安価でも用途に使えないクレジットや、資料がそろわず社外説明できないクレジットを選びやすくなります。

比較表には「確認済み」「追加資料待ち」「対象外」の三つの状態を設けます。未確認を空欄のまま残さず、誰がいつ確認するかを割り当てると、契約直前の確認漏れを防げます。

候補を選んだ理由も一行で残します。例えば「国内報告に使うため制度事務局の登録簿を優先した」「国際移転の承認資料がそろう案件に限定した」と記載すれば、価格が変動した後も選定の前提を説明できます。

反対に、資料が不足している候補を比較表から消す必要はありません。見送り理由と再確認の条件を残しておくと、供給状況や制度文書が更新されたときに、同じ調査を最初からやり直さずに済みます。

選定会議の議事録には、採用候補、見送り候補、追加資料の依頼先、次回確認日を記録します。決裁者が変わっても判断過程を追えるため、後から「なぜこの制度を選んだのか」と問われたときに、比較軸と根拠を示せます。社外説明に使わない内部メモも、根拠資料の取得日と担当者を記す限り、再確認の手掛かりになります。会議で出た反対意見や保留条件も残すと、採用後に条件が変わったとき、どの前提を見直すべきか判断しやすくなります。候補の採否を一度決めて終わりにせず、制度文書の改定とプロジェクトの状態変更を確認する日を台帳に登録します。更新がなければ「変更なし」と記録するだけでも、確認を実施した証拠になります。確認者の氏名も残します。

J-クレジットとJCMを制度、対象地域、根拠、用途、購入前の注意で比較する表
J-クレジットとJCMは、制度根拠と購入後の証跡を用途に合わせて比較します。
制度適格性と候補クレジットを比較する

グリーンウォッシュを防ぐ確認項目

主張の対象範囲と期間を一行で書けるか

「当社はカーボンニュートラルです」とだけ書くと、対象組織、製品、拠点、排出スコープ、基準年、算定期間が分かりません。まず、誰の、何の、いつの排出を対象にした主張なのかを一行で書きます。

次に、削減努力を反映した排出量と、クレジットで埋め合わせる量を分けます。対象範囲が文書ごとに変わる場合は、広告、統合報告書、調達資料の表現をそろえます。

削減量の算定根拠を再現できるか

プロジェクトのベースライン、活動量、排出係数、モニタリング期間を確認し、第三者が同じ資料から削減量を追える状態にします。算定結果だけを受け取り、入力データや方法論の版を確認しない運用は避けます。

資料を受け取る際は、方法論の名称と版、モニタリング報告書の対象期間、検証報告書の対象範囲を記録します。改訂版が公開された場合は、購入時点で適用された版と、現在の版を区別します。

削減量の数値に幅がある場合は、最大値だけを採用せず、契約数量と表示数量を分けます。差分が出たときの扱いを契約書に書いておけば、後から数量を都合よく変更したという誤解を避けられます。

需要家がすべての技術検証を自社で行う必要はありませんが、検証主体、検証日、対象期間、例外処理の有無は確認記録に残します。説明できない空欄がある場合は、購入数量や表示範囲を先に広げない判断が必要です。

追加性とベースラインの説明を確認する

追加性は、クレジット収入や制度支援がなければ成立しなかった削減をどのように説明するかという論点です。ベースラインは、プロジェクトを実施しなかった場合の排出量をどの条件で設定したかを示します。

方法論に沿った説明があっても、プロジェクトの開始時期、設備の更新計画、規制要件との関係によって確認すべき資料は変わります。案件資料に記載された仮定と、需要家が公表する説明を混同しないことが重要です。

例えば、法令で導入が義務付けられた設備の削減を、クレジット収入だけで追加的に生じた効果として説明する場合は、根拠が不足する可能性があります。規制、補助金、事業計画の関係を確認し、追加性の説明がどの資料に依拠するかを示します。

二重計上と相当調整の扱いを確認する

同じ削減量を、プロジェクト国と購入国、複数の企業、複数の制度が同時に自分の削減として数えると、環境効果の帰属が重複します。移転が国のNDCや国際的な緩和目的に関係する場合は、相当調整の方法と記録を確認します。

確認する資料は、承認書、移転記録、対応するレジストリのステータス、利用目的を示す契約条項です。相当調整が必要な利用なのか、国内の自主的な貢献として扱うのかを先に決め、表現を分けます。

購入者が確認するのは、相当調整が実施されたという言葉だけではありません。どの国のどの報告に反映され、どのシリアル番号がどの利用目的に割り当てられたかを、レジストリと契約書で照合します。確認できない場合は、国の目標達成への貢献を断定する表現を避けます。

発行、移転、無効化の状態を分けて確認する

「発行済み」「保有中」「移転済み」「無効化済み」は別の状態です。購入契約を結んだだけでは、需要家の環境主張に使える証跡が完成したとは限りません。

無効化する単位のシリアル番号、無効化日、利用法人名、利用目的、対象期間を記録し、無効化後に変更できない項目を社内承認で確定します。代理無効化を利用する場合は、通知書に自社名がどう記載されるかを事前に確認します。

購入担当者が保管する契約書、経理が保管する請求書、広報が使う表示文を同じ管理番号でひも付けると、監査や取引先からの照会に対応しやすくなります。個別ファイルをメールボックスだけに置かず、社内の保存ルールに従って権限管理します。

「環境にやさしい」の理由を説明文で補う

環境省の環境表示ガイドラインは、あいまいな環境主張を避け、主張の内容に説明文を付け、根拠データにアクセスできるようにすることなどを基本項目として示しています。

「再エネ由来」「森林を守る」「地域に貢献する」といった表現を使う場合は、どの属性を指しているのか、どの資料で確認できるのかを直後に示します。認証マークだけを大きく表示し、条件を読めない位置に置く構成は避けます。

表示文の下に、対象範囲、算定期間、利用したクレジット、無効化の実施日、根拠資料へのリンクをまとめます。説明欄に書き切れない場合は、詳細ページへ誘導し、広告と詳細ページの内容が一致するように更新担当者を決めます。

出典:適切な環境表示を行うために|環境省

グリーンウォッシュを防ぐために創出地、方法論、追加性、二重計上、無効化、表示文を確認する流れ
根拠を確認できない主張は、表示範囲を見直してから公表します。

確認項目を台帳に落とす

チェック項目は、担当者の感覚ではなく、証跡の有無と判断結果で管理します。次のように「何を見れば確認済みになるか」と「未確認のときに何を止めるか」をセットにします。

確認項目 確認する証跡 未確認のときに止めること
対象範囲 算定境界、対象法人、対象製品 広い範囲の環境表示
算定方法 方法論、活動量、排出係数 削減量の断定
検証 検証報告書、対象期間、検証主体 検証済みという表示
追加性 ベースライン、規制、補助金との関係 追加的な削減という説明
二重計上 承認、移転、相当調整の記録 国の目標への貢献の断定
無効化 通知書、シリアル番号、利用法人名 相殺済みという表示
属性情報 再エネ、森林、地域便益の根拠 属性を強調した広告

空欄が残る項目は「問題なし」ではなく「確認中」です。購入数量や公開表現を決める会議では、確認中の項目を明示し、誰がいつ埋めるかを議事録に残します。

需要家が購入前に社内でそろえる情報

目的、対象範囲、算定期間を一枚にまとめる

調達担当者は、購入前に「何に使うクレジットか」を一枚にまとめます。対象法人、製品や事業、排出スコープ、算定年度、必要量の計算方法、社外公表の予定を記載します。

数量が確定していない段階では、推計値と確定値を分けて管理します。推計値を契約数量の根拠にする場合は、差分が出たときの追加購入、減額、表示修正の扱いを契約前に確認します。

削減を先に行い、クレジット利用の位置付けを決める

クレジットは、設備更新や省エネルギーなどの削減努力を置き換えるものではありません。自社で実施した削減、サプライヤーとの削減、クレジットによる補完を分けて社内資料に記載します。

温対法、CDP、SBT、RE100、GX-ETSなど、提出先ごとに認められる主張や証跡が異なる場合があります。複数の提出先に使うなら、同じ数量を二重に使わない台帳を作ります。

表示文案と証跡の対応表を作る

購入前に、広告や報告書で使う予定の文案を仮置きし、各文に必要な証跡を対応させます。「何を削減したか」「どの期間か」「どのクレジットを使ったか」「どこで確認できるか」を一行ずつ記録します。

文案に根拠が付かない場合は、購入数量を増やすのではなく、表現を狭めます。根拠資料を後から探す運用にすると、担当者の交代や公開時期の変更で説明が途切れます。

社内レビューでは、環境担当者だけでなく、法務、広報、購買の確認欄を設けます。各部門の承認理由を残すことで、表示の意味を誰か一人の経験や記憶に依存させません。

内部の基礎整理には、カーボンクレジットとは?仕組みと種類を解説とJ-クレジットの購入方法4つを比較も参照してください。

社内会議では、次の三つの質問を順に確認します。第一に、どの排出を減らした結果として説明するのか。第二に、その説明を裏付ける資料を誰が保管するのか。第三に、制度が改定された場合にどの文書を更新するのか、です。

この三つに答えられない状態で発注を急ぐと、購入後に表示だけを修正することになります。表示修正が難しい製品パッケージやイベント告知では、購入前の文案レビューを調達スケジュールに組み込みます。

需要家の購入前手順を五つに分ける

ステップ1:用途要件を確定する

利用目的、対象期間、対象範囲、必要量、提出先、公開予定日を決めます。ここで「自主的な気候貢献」と「制度上の報告」を混ぜないことが、後の候補選定を安定させます。

ステップ2:制度適格性を一次情報で確認する

制度事務局、環境省、経済産業省、UNFCCC、取引所などの一次情報で、対象クレジットが利用目的に適合するか確認します。販売者の説明資料だけで「使える」と判断せず、制度文書の対象範囲と更新日を記録します。

ステップ3:案件資料とレジストリを照合する

プロジェクト名、方法論、認証番号、発行量、保有者、クレジット期間、検証主体、シリアル番号の範囲を照合します。ファイル名だけで管理せず、取得日と参照URLを台帳に残します。

ステップ4:見積条件を同じ様式で比較する

単価だけでなく、移転手数料、無効化手数料、契約解除条件、納品時期、証明書の発行方法、属性情報の範囲を同じ表に入れます。価格を比較できない場合は、比較不能の理由を記録し、数量や用途を絞って再見積りします。

ステップ5:契約と無効化計画を承認する

契約書には、対象クレジットの識別情報、数量、移転先、無効化主体、利用法人名、対象期間、表示の許諾範囲、資料保存期間を記載します。購入後に誰が無効化し、誰が証跡を保管し、誰が表示を承認するかを決めてから発注します。

納品物の定義も明記します。登録簿の移転記録、無効化通知、プロジェクトの検証資料、属性情報、請求書を、紙やPDFのどの形式で受け取るか決めます。受け取れない資料がある場合は、発注前に表示や報告への利用範囲を限定します。

出典:クレジットの活用手続き|J-クレジット制度

購入条件と証跡の整理に迷う場合は、カーボンオフセットの相談窓口から確認事項を共有できます。

調達ルートごとの確認ポイント

直接購入は資料の所在と責任分界を確認する

プロジェクト保有者や開発事業者から直接購入する場合は、誰が制度手続きを行い、誰がデータを保管し、誰が無効化を申請するかを契約で明確にします。事業者の技術説明と、需要家が公表できる環境主張を同じ資料として扱わないことも必要です。

プロバイダーや仲介会社は役割を限定して依頼する

仲介会社には、用途に合う候補の紹介、条件整理、売り手との調整を依頼できます。カーボンリンクも、候補紹介、条件整理、買い手や投資家、オフテイカーとの調整を行います。

候補を整理するときは、発行済みクレジットと将来発行分を分け、数量、ビンテージ、引渡時期、販売権の確認状態を別々に記載します。将来発行分を発行済み在庫と同じ確実性で説明しないことが、需要家の判断を守ります。

公表相場がないJCMでは、単一の売り手の提示価格を相場と扱わず、複数の見積条件と価格の根拠を並べて比較します。価格、数量、用途、希望時期をそろえてから候補を比較することで、単価だけでは見えない条件差を確認できます。

監査、デューデリジェンス、申請、PDD、MRV、検証、発行、適格性保証が仲介会社の業務に含まれるとは限りません。委託範囲と、需要家が最終確認する項目を、見積書と契約書に分けて記載します。

市場やプラットフォームは制度対象と約定条件を確認する

取引所やマッチングサービスは、価格発見や相手探しに役立ちますが、画面に表示された銘柄名だけで利用目的への適合性は確定しません。約定後の移転、無効化、証明書取得を誰が行うかを確認します。

J-クレジットの市場情報を調べる場合は、カーボン・クレジット市場の制度概要と制度事務局の情報を併読し、画面の価格と自社の総調達費用を分けて記録します。

JCM案件は国際移転の条件を先に確認する

JCMは案件ごとにパートナー国、方法論、配分、承認、移転時期が異なります。購入前に、クレジットがどの制度目的に使えるのか、相当調整が必要か、対象国の文書がそろっているかを確認します。

JCMの制度理解には、JCM(二国間クレジット制度)の概要と、環境省の制度資料を使います。未確認の将来発行量や価格を前提に発注せず、発行済み数量と契約上の引渡し条件を分けて記載します。

将来発行を含む契約では、発行されなかった場合の代替、返金、契約解除、表示停止を定めます。発行前の期待値を、発行済みクレジットと同じ確度で広告に使わないことが重要です。

購入後に証跡を保ち、表示を見直す

無効化通知と表示の対応を保管する

無効化通知、シリアル番号、認証番号、無効化日、利用法人名、対象期間、利用目的を一つのフォルダに保管します。広告や報告書の公開版も保存し、どの文がどの証跡に対応するかを後から追えるようにします。

証跡の保存期間は、取引先との契約、社内の文書管理規程、報告制度の要求を確認して決めます。保存期間を決めずに担当者の個人フォルダへ置くと、退職や異動で資料の所在が分からなくなります。

年度更新では、排出量の再計算、追加購入の有無、制度文書の改定、表示文の変更を確認します。制度の変更や取引先の要求があった場合は、既存の説明をそのまま再利用せず、対象期間と根拠を更新します。

公開を取り下げた表示や旧版の資料も削除せず、公開期間と変更理由を台帳に残します。過去の表示がどの時点の算定とクレジットに基づくかを示せれば、制度改定後の照会にも説明をつなげられます。

需要家が利用目的、対象年度、創出地、認証、二重計上防止、無効化、表示文、価格と納期を確認する8項目チェック
8項目を確認してから契約、無効化、環境表示へ進みます。

よくある質問(FAQ)

Q. J-クレジットならグリーンウォッシュになりませんか?

A. はい、なり得ます。制度認証はクレジットの発行要件を示しますが、需要家の表示が対象範囲、期間、数量、削減努力を正しく説明していることまで自動的に保証するものではありません。

Q. JCMと海外のボランタリークレジットは同じですか?

A. 同じではありません。JCMは日本とパートナー国の政府間制度で、海外のボランタリークレジットは民間標準などのプログラムで発行されます。承認、移転、相当調整、無効化の資料を制度ごとに確認します。

Q. クレジットを買えば製品を「ゼロエミッション」と表示できますか?

A. 直ちには表示できません。製品の算定境界、削減量、補完に使ったクレジット、対象期間、表示の条件を説明できることが必要です。根拠が限定される場合は、表現の範囲を狭めます。

Q. 購入前に最低限そろえる資料は何ですか?

A. 制度文書、プロジェクト概要、方法論、検証資料、レジストリ情報、発行・移転・無効化の状態、契約条件、表示文案の対応表です。資料の取得日とURLも残します。

Q. 仲介会社に確認を任せれば十分ですか?

A. 最終責任は需要家に残ります。仲介会社には候補紹介や条件整理を依頼できますが、制度適格性、表示の根拠、社内承認、無効化後の証跡を自社の担当者が確認できる体制を作ります。

まとめ:比較表と証跡を購入条件にする

J-クレジット、JCM、海外クレジットは、発行主体と国際移転の仕組みが異なります。需要家は、価格や認証名だけで選ばず、用途、対象範囲、算定期間、二重計上の扱い、無効化の証跡を先に確認します。

環境表示は、削減努力、算定結果、クレジット利用を分けて説明し、根拠資料にアクセスできる状態を保ちます。候補比較、契約、無効化、公開後のレビューを同じ台帳で管理すると、担当者が変わっても説明を継続できます。

需要家向けのクレジット選定と証跡整理を相談する

出典:JCMクレジット登録簿の手続き|JCM実施機構/環境表示ガイドラインの改定について|環境省

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この記事を書いた人

カーボンリンク編集部のアバター カーボンリンク編集部

カーボンリンク株式会社が運営するGX専門リサーチメディア「Carbonlink Research」の編集部。J-クレジット制度(経済産業省・環境省・農林水産省共同運営)・GX-ETS(排出量取引制度)・JCM(二国間クレジット制度)・国際カーボンクレジット市場を主要テーマとし、企業のGX担当者やクレジット保有者が意思決定に使えるリサーチ記事を執筆・監修している。カーボンリンク社はJ-クレジットの調達から、語れるオフセットストーリーの設計・発信支援までを一体で提供する「カーボンオフセットデスク」をはじめ、「J-クレジット買取センター」、仲介事業者向けプラットフォーム「OTC Hub」を運営しており、累計3.5億円を超える取引の最前線で得た実務知見を記事に反映している。

この記事の監修者

増山 大知の写真 増山 大知 カーボンリンク株式会社 代表取締役

カーボンリンク株式会社 代表取締役。J-クレジットの調達から、地域に語れるオフセットストーリーの設計・発信支援までを一体で提供する「カーボンオフセットデスク」をはじめ、「J-クレジット買取センター」、仲介事業者向けプラットフォーム「OTC Hub」を運営。東証プライム上場企業を含む10業界以上の法人との直接取引を行い、省エネ・農業・再生可能エネルギーのJ-クレジット買取成約実績を持つ。累計3.5億円を超えるカーボンクレジット取引の実務経験をもとに、Carbonlink Research の全記事を監修している。

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