J-クレジットの買取とは、保有・創出したJ-クレジットを買取事業者に直接売却し、現金化する方法です。J-クレジットの売却方法は、相対取引(売り出しクレジット一覧への掲載や仲介プロバイダー経由)、東証カーボン・クレジット市場、買取事業者への売却の3ルートに大別できます。買取は、このうち「交渉・契約・登録簿移転の手続きを事業者側が肩代わりしてくれる」ルートです。
買取と仲介、市場売却では、買主、価格の決まり方、成立までの手順が異なります。査定額は個別取引の提示であり、東証の基準値段や公開参照価格がそのまま買取価格になるわけではありません。売却経路の比較と合わせて、対象クレジット、数量、必要時期、手数料を確認してください。
この記事を読むことで、自社が保有・創出したJ-クレジットを売却する際に、相対・市場・買取のどのルートが自社に向いているかを判断し、買取を選ぶ場合にどの事業者に依頼すべきかを、査定基準と価格の仕組みを理解したうえで選べるようになります。すでに買い手や依頼先を決めている場合でも、選定の判断基準を確認する材料としてお使いいただけます。
- J-クレジットを売る3つのルート(相対取引・東証市場・買取事業者)と、買取の位置づけ
- 相対取引・東証カーボン・クレジット市場と比較した買取のメリット・デメリット
- J-クレジット買取業者を選ぶときに確認すべきチェックポイント
- 買取の査定額を左右する4つの要因(種類・発行年度・量・用途適合性)
- 買取価格が東証基準値段とどう連動して決まるか
J-クレジットの「買取」とは?売却3ルートの中での位置づけ
まず、J-クレジットを売却する方法全体の中で、「買取」がどこに位置するのかを整理します。
J-クレジットを売る3つのルート
J-クレジット制度事務局が運営する公式サイトでは、クレジットの売却方法として「売り出しクレジット一覧」への掲載、J-クレジット・プロバイダー等を通じた仲介、入札販売(6ヶ月以上取引が成立しなかったクレジットが対象で、事務局が年1〜2回、販売・売買契約を代行)が案内されています。いずれも価格は当事者間の相対取引で決定される仕組みで、売買契約書のひな形も提供されており、契約形態や契約文面は取引当事者同士で協議する運用です。これに加えて、東京証券取引所が運営する東証カーボン・クレジット市場でも取引できます。
実務上は、これらを大きく「①相対取引(売り出しクレジット一覧・仲介プロバイダー経由)」「②東証カーボン・クレジット市場」「③買取事業者への直接売却」の3ルートとして整理すると分かりやすくなります。J-クレジットは登録簿システム上で口座間移転によって権利が移転する仕組みで、口座は法人のみが開設できます。保有・創出したクレジットを売る企業は、いずれのルートでも最終的にこの登録簿での移転手続きを経由し、移転が完了した時点でクレジットの所有権が買い手に移ります。
出典:売却方法(売りたい方)|J-クレジット制度/クレジット売買|J-クレジット制度
J-クレジットの売却可能性は、買い手の用途に適合するか、必要量と条件が合うかで変わります。GX-ETSや任意のオフセット需要を一括りにせず、制度の対象年度とクレジットの適格性を確認してください。SBT認証企業の増加だけでJ-クレジットの購入需要が確定するわけではありません。価格動向は価格推移の記事を参照してください。
「買取」とは、交渉・契約・移転手続きを事業者が肩代わりするルート
買取とは、①・②のように自社で買い手を探したり取引参加者として市場に加わったりするのではなく、買取を専門に行う事業者へクレジットを直接売却する方法です。買取事業者自身が買い手となるため、価格提示から契約、登録簿システムでの移転手続きまで、売り手企業が本来自分たちで行う実務の大部分を事業者側が引き受けます。
保有・創出したクレジットを「手間をかけずに現金化したい」というニーズに応える位置づけであり、相対取引のように自社で買い手を探して交渉する必要がなく、東証市場のように取引参加者としての登録も不要です。J-クレジットの取引価格が上昇している近年は、保有しているクレジットを自社で使わずに売却して収益化する動きも広がっており、こうした企業からの買取ニーズが増えています。次章で、3ルートの違いを具体的に比較します。

相対取引・東証市場と比較した「買取」のメリット・デメリット
3つのルートは、手間・スピード・価格追求のしやすさのバランスが異なります。それぞれの特徴を確認しましょう。
相対取引(売り出しクレジット一覧・仲介プロバイダー経由)の特徴
相対取引は、「売り出しクレジット一覧」にクレジット情報(種別・売却可能量・特徴等)を掲載して購入者を募る方法と、J-クレジット・プロバイダー等の仲介事業者を介して買い手を探す方法があります。いずれも販売価格は非公開で、クレジット保有者と買いたい事業者との相対交渉の中で決まります。
自社の希望価格を追求しやすい一方、買い手が見つかるまでの時間が読みにくく、契約書の作成や登録簿での移転手続きも基本的に自社(または仲介プロバイダーとの協業)で進める必要があります。掲載から成約までの期間は種類や希望価格によって幅があり、需要が読みにくい種類ほど買い手が見つかりにくい傾向もあります。時間に余裕があり、価格の上振れを狙いたい企業に向いたルートです。
出典:「売り出しクレジット一覧」への掲載方法|J-クレジット制度/認証済みのクレジット_売り出しクレジット一覧|J-クレジット制度
東証カーボン・クレジット市場の特徴
東証カーボン・クレジット市場は、東京証券取引所が運営する取引市場です。基準値段は直前の約定値段等をもとに算定され、取引が成立しなかった日は前営業日の基準値段が引き継がれる形で、日々更新・公表されています。価格の透明性が高い点が特徴です。
一方で、市場での売買には取引参加者としての参加、あるいは取引参加者を通じた発注が必要になります。取引参加者になるには一定の手続きを経る必要があり、単発の売却のために新たに参加者となるのは負担が大きい場合があります。まとまった量を、公表された基準値段を踏まえて売却したい企業に向いたルートです。
出典:制度概要|カーボン・クレジット市場(日本取引所グループ)/カーボン・クレジット市場日報|日本取引所グループ
買取事業者に依頼する場合の特徴
買取事業者に依頼する場合、査定を申し込んでから価格提示・契約・登録簿移転までの実務を事業者側が案内・代行するため、自社で買い手を探す手間や取引参加者としての登録が不要です。相対取引や市場取引に比べて、契約から入金までのスケジュールが見通しやすいのが利点です。
直接買取の提示額は、対象クレジットや市場動向、契約条件によって変わります。複数の事業者に査定を依頼して条件を比較できますが、個別に情報の開示が必要です。売却成立や入金の確実性を事前に保証するものではないため、価格、支払日、移転条件を契約前に確認してください。
3ルート比較表
| 相対取引 | 東証カーボン・クレジット市場 | 買取事業者 | |
|---|---|---|---|
| 交渉・契約の主体 | 自社(または仲介プロバイダーと協業) | 取引参加者(自社が参加者、または参加者経由) | 買取事業者 |
| 事前の準備 | 「売り出しクレジット一覧」への掲載等 | 取引参加者としての参加登録 | 査定申込みのみ |
| 価格の決まり方 | 相対交渉(非公開) | 基準値段を踏まえた市場取引 | 事業者による査定・提示 |
| 見積り提示のスピード | 買い手が見つかるまで不定 | 気配・基準値段で随時確認可能 | 資料確認後に個別提示 |
| 登録簿移転の実務 | 自社で対応 | 参加者の仕組みに従う | 事業者が案内・代行 |
| 向いているケース | 時間に余裕があり価格を追求したい | まとまった量を透明な価格で売りたい | 買取条件と支払時期を個別に確認したい |
どのルートにも一長一短があり、優劣で語れるものではありません。保有量・売却までにかけられる時間・自社で交渉や事務手続きを行うリソースの有無を踏まえて選ぶのが実務的です。たとえば決算期をまたいで現金化のタイミングを確定させたい場合はスケジュールの見通しやすさを、逆に単価を最大化したい場合は交渉の余地を、それぞれ優先順位の軸に置くと選びやすくなります。複数のルートを同時に検討し、まず買取業者に査定を依頼して相場感をつかんでから、相対取引や市場での売却を並行して検討する進め方もあります。
J-クレジット買取業者の選び方|チェックすべき4つのポイント
買取を選ぶ場合、次にぶつかるのが「どの買取業者に依頼するか」という問題です。買取業者の数は限られているわけではないため、比較検討の軸を持っておくことが重要です。査定額の大小だけで即断すると、契約や移転の段になって実務対応の粗さに気づくケースも見られます。確認しておきたい4つのポイントを整理します。
①取引実績・取扱量の開示
事業者の実績を見るときは、対象期間、クレジットの種類、売買の別、取引額と売上の別を確認します。カーボンリンク公式サイトは2026年8月時点で、炭素クレジット累計取引額3.5億円超、J-クレジット直接買取量3万t-CO2、直接買取累計額約2億円を公表しています。これらは自社公表値で、当該クレジットの買取可否や提示額を示すものではありません。出典:カーボンリンク公式サイト
公開された直近の成約例を読むときの注意
累計実績とは別に、カーボンリンクは2026年8月の直接買取の成約例を次のように公表しています。方法論の大分類と数量だけを示したもので、取引先名、価格、認証番号は守秘義務に配慮して非公開です。
| 約定月 | 方法論の大分類 | 数量 |
|---|---|---|
| 2026年8月 | 農業 | 160t-CO₂ |
| 2026年8月 | 農業 | 100t-CO₂ |
| 2026年8月 | 再生可能エネルギー | 10t-CO₂ |
3件の公表数量を足すと270t-CO₂です。会社は「約定済みで、受渡手続き中の案件を含む」と明記しています。全件の移転や入金が完了した実績としては扱えず、この数量から買取単価も推定できません。出典:直近の買取成約実績|カーボンリンク(2026年8月31日時点)
実績の開示がない、あるいは問い合わせても具体的な取扱量を示さない事業者の場合、査定価格の妥当性を検証する手がかりが乏しくなる点に注意が必要です。
②価格提示の根拠が明確か
買取価格がどのような基準で決まるのかを、事業者側が説明できるかも重要な確認点です。東証カーボン・クレジット市場の基準値段のように公表されている指標と連動しているのか、単に「弊社独自の基準」とされていて根拠が示されないのかで、価格の納得感は大きく変わります。「なぜこの金額なのか」を尋ねたときに、公表されている指標や種類別の相場を踏まえた説明が返ってくるかどうかを一つの目安にしてください。
当社の買取センターでは、東証カーボン・クレジット市場の基準値段に連動した参照価格を平日更新で公開しており、査定額の算定根拠を確認できる形にしています。価格の決まり方の詳細は後述します。
③対応できるクレジットの種類・量と実務対応力
J-クレジットには省エネ・再エネ電力・森林等さまざまな種類があり、事業者によって得意分野や取扱量の上限が異なる場合があります。契約書の作成や登録簿システムでの移転手続きなど、法人間の実務をどの程度の件数扱ってきたかも、スムーズな取引の目安になります。契約書の書式や必要書類について、依頼前の段階でどこまで具体的に説明してもらえるかも、実務対応力を見極める材料になります。
依頼を検討する際は、自社が売却したいクレジットの種類・量を伝えたうえで、対応可能かどうかを事前に確認しておくと手戻りを防げます。
④査定・契約の条件が明示されているか
査定そのものに料金がかかるか、契約が売買基本契約として明文化されるか、契約から入金までの目安期間が示されているかも確認しておきたい点です。査定額の有効期限や、契約後に条件が変更される可能性があるかどうかも、事前に確認しておくと安心です。当社の買取センターでは、査定フォームでの申込みから適正価格の提示、売買基本契約の締結、登録簿での移転、移転確認後30日以内の入金(契約条件に基づく)までの流れをあらかじめ明示しています。
「査定を依頼したら何をいつまでにしてもらえるのか」が事前に分からない事業者は、契約後の手戻りやスケジュールのずれが生じやすくなります。依頼前に一連の流れを確認しておきましょう。
4つのチェックポイントを一覧にまとめると、次のようになります。
| チェックポイント | 確認する内容 |
|---|---|
| ①取引実績・取扱量 | 累計取引量・対応してきたクレジットの種類が開示されているか |
| ②価格提示の根拠 | 公表指標との連動など、査定額の算定根拠を説明できるか |
| ③対応力 | 自社のクレジットの種類・量に対応できるか、実務対応が具体的か |
| ④査定・契約の条件 | 査定料の有無、契約形態、入金までの目安期間が明示されているか |

買取の査定で見られるポイント|査定額を左右する4つの要因
買取業者に査定を依頼すると、いくつかの要因を踏まえて価格が提示されます。同じt-CO2数のクレジットでも、種類や発行年度、まとまった量かどうかによって査定額は変わるため、事前にどのような要因が見られているかを知っておくと、査定結果を評価しやすくなります。査定額を左右する主な要因を確認しておきましょう。
クレジットの種類(省エネ・再エネ電力・森林等)
J-クレジットは省エネ、再エネ電力、森林など種類ごとに価格指標が分かれます。再エネ電力由来でも、用途の条件、認証年度、数量、移転時期によって査定額は変わります。種類名だけで一定の単価や需要を見込まず、保有ロットの情報をそろえて個別に見積もりを依頼してください。価格指標の推移はJ-クレジット価格の推移と2026年以降の見通しで確認できます。
自社が保有・創出しているクレジットの種類によって、査定額の目安は大きく変わる点を押さえておきましょう。同じ企業が複数種類のクレジットを保有しているケースも多いため、種類ごとに相場の目安を持っておくと、提示された査定額が妥当かどうかを判断しやすくなります。
発行年度(ヴィンテージ)
クレジット市場全般では、発行年度が新しいものほど買い手に選好される傾向があります。J-クレジットでも同様の傾向が見られ、たとえば同じ再エネ電力由来でも、直近に発行されたものと数年以上前に発行されたものでは、買い手の需要に差が出る場合があります。
古いクレジットを保有している場合は、放置せず早めに査定に出すことで、需要が強いタイミングを活かしやすくなります。
量(トン数)
まとまった量のクレジットは、1件あたりの契約・移転手続きにかかる実務コストが薄まるため、査定条件が良くなりやすい傾向があります。数十t-CO2程度の少量と、数百t-CO2規模のまとまった量では、査定における交渉の進めやすさが異なります。少量の場合でも買取自体は可能ですが、複数年度にわたって創出したクレジットがある場合は、まとめて査定に出すことも検討する価値があります。
用途適合性(GX-ETS適格クレジット等)
買い手の用途に合うクレジットは査定で評価される場合があります。ただし、GX-ETSなどの制度で利用できる種類かどうかと、個別の買い手が実際に購入するかは別です。認証番号、方法論、対象年度、数量を確認し、現時点の需要や買取条件を個別に照合してください。
買取価格はどう決まる?東証基準値段との関係【2026年最新】
公開された市場指標は査定の参考情報の一つです。買い手の具体的な需要や契約条件が未確定なら、表示価格だけで買取成立や入金日を見込むことはできません。
査定を比較するときは、同じ種類、認証年度、数量、移転予定日で依頼し、税と手数料を含む受取総額、見積有効期限、移転確認日からの支払条件を並べてください。カーボンリンクの公開参照価格も買取保証額ではなく、実際の価格は査定時に提示します。出典:J-クレジット買取センター|カーボンリンク
東証カーボン・クレジット市場の基準値段とは
東証カーボン・クレジット市場では、基準値段が算定・公表されています。基準値段は直前の約定値段等をもとに決まり、取引が成立しなかった日は前営業日の基準値段が引き継がれる形で、営業日ごとに更新されます。市場取引を介さない相対取引や買取であっても、この基準値段は「今、J-クレジットがどの程度の価格で取引されているか」を確認できる公開指標として参照されています。
出典:制度概要|カーボン・クレジット市場(日本取引所グループ)
種類別の単価水準(2026年の目安)
東証の基準値段は種類別の市場指標であり、買取事業者の参照価格や、個別の契約単価とは異なります。同じ種類でも日々の値動きがあり、認証年度、数量、用途条件、移転時期も見積りに影響します。認証年度の異なるロットをまとめて売る場合も、認証番号別の数量と受渡可能日を見積依頼に明記してください。次の表では数字を固定せず、種類ごとに照合する情報を整理します。
| 種類 | 確認する価格 | 傾向 |
|---|---|---|
| 省エネ由来 | 省エネ区分の当日基準値段と個別査定額 | 日付と認証年度、数量を合わせて確認 |
| 再エネ電力由来 | 再エネ電力区分の当日基準値段と個別査定額 | 電力属性としての用途条件と契約価格を分けて確認 |
| 森林等由来 | 森林区分の当日基準値段と個別査定額 | 認証番号、実施場所、数量と受渡条件を照合 |
より詳細な価格帯・推移はJ-クレジット価格の推移と2026年以降の見通しで解説しています。買取の査定額も、この種類別の単価水準を出発点に、前述の発行年度・量・用途適合性を加味して決まります。
当社が公開する参照価格の仕組み
カーボンリンクが公開する参照価格は、個別査定の検討材料です。東証の基準値段は市場の種類別指標であり、保有するクレジットの発行年度、数量、用途条件、取引時期を加味した買取契約価格とは異なります。公開価格の見方も確認し、見積り額と区別してください。
例えば、東証の基準値段と個別査定額に差がある時期に再エネ電力由来クレジットの査定を依頼した場合、当社ではこの基準値段を出発点とした参照価格をもとに、クレジットの発行年度や量を踏まえた見積り額をご提示します。個別の査定額は保有するクレジットの内容によって変わるため、正確な金額は査定フォームからご確認ください。価格の決まり方を公開指標と結び付けて示すことで、「なぜこの査定額になるのか」を確認できるようにしています。買取業者を選ぶ際は、前述の「②価格提示の根拠が明確か」で触れたとおり、価格提示の根拠が公開されているかどうかを確認するとよいでしょう。
| 更新・決定の頻度 | 決まり方 | |
|---|---|---|
| 東証基準値段 | 営業日ごと | 直前の約定値段等をもとに市場が算定・公表 |
| 当社の参照価格 | 平日更新 | 東証基準値段に連動して算定・公開 |
| 買取査定額 | 査定申込みごと | 参照価格に種類・発行年度・量・用途適合性を加味 |

買取の流れ|査定から入金までの4ステップ【概要】
買取を依頼した場合の大まかな流れを確認しておきましょう。全体の所要期間は保有するクレジットの量や書類の準備状況によって変わりますが、大きくは査定・価格提示・契約・移転・入金の4段階で進みます。詳細な手順・必要書類は「J-クレジットの売り方」で解説しているため、ここでは概要にとどめます。
STEP1 査定に申し込む
保有・創出しているクレジットの種類・量などの情報を、買取業者の査定フォームなどから伝えます。保有量が複数種類にわたる場合は、それぞれの種類・発行年度も伝えておくと、査定がスムーズです。
カーボンリンクの公開査定フォームには、クレジットの種類、認証番号、売却数量を伝える欄があります。複数の認証番号を持つ場合は、番号ごとの種類と数量を対応させておくと、どのロットを査定・契約・移転するのか確認できます。出典:J-クレジット買取査定フォーム
STEP2 適正価格の提示を受ける
査定情報をもとに、買取業者から価格が提示されます。当社の場合、東証基準値段に連動した参照価格を出発点に算定します。提示された金額に不明点があれば、算定根拠を確認してから契約に進むことをおすすめします。
STEP3 売買基本契約・登録簿移転
提示価格に合意したら、売買基本契約を締結し、J-クレジット登録簿システム上でクレジット保有者の口座から買取業者の口座への移転手続きを行います。契約内容や移転手続きに必要な書類は、契約締結時にあわせて案内されます。
STEP4 入金(移転確認後30日以内、契約条件による)
登録簿での移転確認と代金の入金は別の段階です。カーボンリンクの買取センターは、移転確認後30日以内に契約条件に基づく買取金額を指定口座へ振り込むと公表しています。査定時の参考価格、契約で合意した金額、実際の入金を同一視せず、支払条件を契約書で確認してください。

買取が向いている企業・相対・市場が向いているケース
3ルートのどれが向いているかは、企業の状況によって変わります。最後に、判断の目安と創出者側の注意点を整理します。
買取が向いているケース
自社で買い手を探す時間や、取引参加者としての登録手続きにかける手間をかけたくない企業には、買取が向いています。決算期に合わせて早めに現金化したい場合や、初めてJ-クレジットを売却する企業にも、実務を任せられる買取は選びやすいルートです。社内にクレジットの売買を専門に扱う担当者がいない企業でも、査定から入金までを一括して任せられる点が実務上のメリットになります。
相対・市場が向いているケース
時間に余裕があり、自社で買い手を探して価格を追求したい企業には相対取引が、まとまった量を公開された基準値段を踏まえて売却したい企業には東証カーボン・クレジット市場が向いています。どちらも自社側の実務負担が相対的に大きくなる点は踏まえておく必要があります。社内に専門の担当者を置ける企業であれば、複数ルートを併用し、種類や量ごとに売却先を分けるという選択肢もあります。
| 買取 | 相対取引 | 東証市場 | |
|---|---|---|---|
| 自社の実務負担 | 小さい | 大きい | 中〜大きい |
| 現金化までの見通し | 立てやすい | 立てにくい | 市場の状況次第 |
| 価格の追求余地 | 事業者の提示額が基準 | 自社交渉次第で上振れも | 基準値段を踏まえた市場価格 |
| 向いている量 | 少量〜まとまった量 | 少量〜中量 | まとまった量 |
創出者が売却する際に注意したい調整後排出量の加算ルール
J-クレジットを創出して売却する企業が、温対法(地球温暖化対策推進法)の特定排出者に該当する場合、自ら創出したクレジットを他者へ移転(売却)した量は、自社の調整後排出量に加算されるルールがあります。売却収入と調整後排出量の増加はトレードオフの関係にあるため、特定排出者である創出企業は、この点を踏まえて売却量を検討する必要があります。なお、森林の整備・保全による吸収由来やバイオ炭の農地施用による貯留由来のクレジットは、この加算ルールの対象から除かれています。
出典:Q&A(調整後温室効果ガス関係)|温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(環境省)
創出の手順や費用についてはJ-クレジットの創出方法、売却によって実際にどの程度の利益が出るかはJ-クレジットは儲かる?損益分岐点と失敗しない方法をご参照ください。
よくある質問(FAQ)
Q. J-クレジットの買取とは、具体的に何をしてもらえるのですか?
買取業者自身が買い手となり、価格の査定・提示から売買基本契約の締結、登録簿システムでの移転手続きまでを、事業者側が案内・代行してくれます。自社で買い手を探したり、東証カーボン・クレジット市場の取引参加者として登録したりする必要がありません。査定自体は無料で受けられる場合が多いため、まずは見積りだけを確認してから検討することもできます。
Q. 買取と、J-クレジット・プロバイダーによる仲介は何が違いますか?
買取は買取事業者自身がクレジットの買い手になる方法です。一方、仲介プロバイダーは他の買い手とのマッチングを支援する立場であり、価格は当事者間の相対交渉で決まります。「事業者に直接売って完結させたい」のか「事業者に買い手探しを手伝ってもらいたい」のかで、選ぶべき依頼先が変わります。
Q. 買取業者を選ぶとき、無料査定は本当に無料ですか?
査定料の有無は事業者によって異なる可能性があるため、依頼前に確認することをおすすめします。当社のJ-クレジット買取センターでは、査定フォームからのお申込みを無料で承っています。
Q. 買取価格はどのように決まりますか?市場価格と同じですか?
買取価格は、東証カーボン・クレジット市場の基準値段のような公開指標を出発点に、クレジットの種類・発行年度・量・用途適合性を踏まえて事業者が算定します。市場の基準値段そのものとは、算定の考え方が異なる場合があります。当社の買取センターでは、基準値段に連動した参照価格を平日更新で公開し、査定額の算定根拠としています。
Q. 創出したクレジットを売却すると、自社の温対法報告に影響しますか?
自社が温対法の特定排出者に該当する場合、創出したクレジットを他者へ売却した量は、自社の調整後排出量に加算されるルールがあります(森林・バイオ炭由来は例外)。売却収入を優先するか、自社の調整後排出量を優先するかは年度単位の経営判断になるため、売却をお考えの創出企業は、この点を踏まえたうえで売却量を検討することをおすすめします。
まとめ
J-クレジットの買取は、相対取引・東証カーボン・クレジット市場と並ぶ3つの売却ルートのうち、交渉・契約・登録簿移転の手続きを事業者側が肩代わりしてくれるルートです。要点を整理します。
- J-クレジットを売る方法は、相対取引・東証カーボン・クレジット市場・買取事業者の3ルート。買取は手間を事業者に委ねられる位置づけ
- 買取業者を選ぶ際は、取引実績の開示・価格提示の根拠・対応力・査定契約の条件を確認する
- 査定額は種類・発行年度・量・用途適合性で変わり、再エネ電力由来も日付とロット条件で査定額が変わる
- 買取価格は東証基準値段のような公開指標を出発点に算定される。根拠が示されているかを確認するとよい
- 創出企業が売却する場合、(森林・バイオ炭由来を除き)調整後排出量への加算ルールに注意が必要
- 買取・相対・市場のいずれを選ぶ場合も、登録簿での移転手続きが必要になる点は共通している
カーボンリンク公式サイトは、2026年8月時点の炭素クレジット累計取引額を3.5億円超、J-クレジットの直接買取量を3万t-CO2、直接買取累計額を約2億円と公表しています。3.5億円は売買双方を含む自社公表値で、当記事の査定や個別の買取成立を保証する数字ではありません。出典:カーボンリンク公式サイト。保有クレジットの査定額を知りたい場合は、認証番号、種類、数量、希望時期を伝えて個別に相談してください。
