J-クレジットの購入を検討しているが、他社がどのように活用しているか事例を知りたい。また、どこから購入できるのか選択肢を整理したい。このような課題を持つ脱炭素担当者は増えています。
本記事では、J-クレジットを実際に購入した企業の事例を業種・目的別に紹介し、購入できる事業者・サービスを一覧で解説します。GX-ETS本格稼働を見据えた調達戦略の参考にしてください。
- J-クレジットを購入した企業の事例一覧(大企業・中小企業・地域貢献型)
- J-クレジットを購入できる4つの方法と特徴の比較
- J-クレジット・プロバイダーとマーケットプレイスの一覧
- J-クレジットの価格相場と調達タイミングの考え方【2026年最新】
- 購入から無効化・報告までの手続きの流れ
J-クレジットとは?購入を検討する企業が押さえるべき基本
J-クレジットは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO2削減量を国が認証する制度です。環境省・経済産業省・農林水産省が共同で運営しており、2013年度の制度開始以来、累計1,100万t-CO2以上のクレジットが認証されています。
企業がJ-クレジットを購入する最大の目的は、自社で削減しきれないCO2排出量をオフセット(相殺)することです。購入したクレジットを「無効化」することで、温対法報告やCDP・SBTの目標達成に活用できます。
J-クレジット制度の仕組みとカーボンオフセットの考え方
J-クレジット制度は「削減を実施した事業者」と「削減量を必要とする事業者」をつなぐ国内の炭素市場です。制度の流れは以下のとおりです。

- 省エネ設備導入や森林整備などのプロジェクトを実施する
- J-クレジット制度事務局に申請し、第三者機関の審査を受ける
- CO2削減量・吸収量がクレジットとして認証される
- 認証されたクレジットを売却し、購入企業がオフセットに活用する
カーボンオフセットとは、自社の排出量を削減する努力を行った上で、削減しきれない排出量をクレジットの購入で埋め合わせる考え方です。「まず削減、残りをオフセット」という順序が国際的にも求められています。

J-クレジットの種類(省エネ・再エネ電力・再エネ熱・森林・農業由来)
J-クレジットは主に5つの種類に分類されます。種類によって価格や用途が異なるため、購入目的に合わせた選択が重要です。
| 種類 | 主な創出方法 | 価格帯(2026年時点) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 省エネ由来 | 高効率ボイラー・空調設備の導入 | 3,000〜4,000円/t-CO2【要確認】 | 温対法報告・SBT |
| 再エネ電力由来 | 太陽光・風力・バイオマス発電 | 5,000〜6,000円/t-CO2 | RE100・CDP報告 |
| 再エネ熱由来 | バイオマスボイラー・太陽熱利用 | 2,500〜3,500円/t-CO2 | 温対法報告 |
| 森林吸収由来 | 森林経営・植林活動 | 10,000〜15,000円/t-CO2 | 地域貢献PR・CSR |
| 農業由来 | 水田メタン削減・バイオ炭施用 | 5,000〜8,000円/t-CO2 | サプライチェーン対応 |

再エネ電力由来のJ-クレジットは、RE100やCDP報告で「再生可能エネルギー由来の電力使用」として計上できるため、近年需要が高まっています。森林吸収由来は単価が高い一方、「地域の森林保全に貢献」というストーリー性があり、PR効果を重視する企業に人気があります。

J-クレジット購入が企業にもたらす5つのメリット
J-クレジットの購入は、排出量の相殺だけでなく、複数のビジネスメリットをもたらします。
- 温対法・省エネ法の報告への活用:温対法の算定・報告制度において、J-クレジットで調整後排出量を減らせる
- CDP・SBT・RE100への対応:国際的なイニシアティブの目標達成にJ-クレジットを活用できる
- GX-ETSの排出枠としての活用:2026年度から本格稼働するGX-ETSにおいて、J-クレジットは排出枠として使用可能
- 企業評価・ESG投資での評価向上:カーボンオフセットの取り組みは、ESG評価機関やサプライチェーンからの評価向上につながる
- 地域貢献・PR効果:特定地域のクレジット購入により、地域の環境保全活動を支援し、CSR・広報に活用できる
特にGX-ETSの本格稼働により、J-クレジットの需要は今後さらに高まると予測されています。早期の調達を検討する企業が増えている背景には、この制度変更があります。
J-クレジットを購入した企業の事例一覧【業種・目的別】
J-クレジットを実際に購入している企業は、製造業・金融・不動産・サービス業など多岐にわたります。ここでは公開されている事例を業種・目的別に整理して紹介します。
大企業の購入事例(ソニー・日本生命など)
日本を代表する大企業も、J-クレジットを積極的に活用しています。以下は公開されている主な事例です。
| 企業名 | 業種 | 購入クレジットの種類 | 活用目的 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| ソニーグループ | 電機 | 再エネ電力由来 | RE100目標達成、事業所の排出量オフセット | 参照元 |
| 日本生命保険 | 金融・保険 | 森林吸収由来 | カーボンニュートラル宣言の達成、地域貢献PR | 参照元 |
| 三井住友銀行 | 金融 | 再エネ電力由来 | オフィスの排出量オフセット、CDP報告 | 参照元 |
| 大和ハウス工業 | 不動産・建設 | 再エネ電力由来・森林吸収由来 | 建設現場の排出量オフセット、SBT対応 | 参照元 |
| 日本郵船 | 海運 | 省エネ由来 | 物流サービスのカーボンオフセット提供 | 参照元 |
大企業では、RE100やSBTなど国際イニシアティブへの対応を主な目的としてJ-クレジットを購入するケースが多く見られます。また、複数種類のクレジットを組み合わせて調達する戦略を取る企業もあります。
中小企業の購入事例ケース
中小企業においても、取引先からの要請やCSR強化を目的としたJ-クレジット購入が広がっています。
| 業種 | 購入量の目安 | 活用目的 |
|---|---|---|
| 製造業(自動車部品) | 100〜500t-CO2/年 | 大手自動車メーカーからのサプライチェーン排出量削減要請への対応 |
| 食品製造業 | 50〜200t-CO2/年 | カーボンニュートラル商品の開発、環境ラベル取得 |
| 印刷業 | 20〜100t-CO2/年 | カーボンオフセット印刷サービスの提供 |
| 物流業 | 200〜1,000t-CO2/年 | グリーン物流サービスの差別化、荷主への報告 |
| IT・Web制作 | 10〜50t-CO2/年 | カーボンニュートラル宣言、採用ブランディング |
中小企業の特徴として、大企業ほどの購入量は必要ないものの、「取引先からの要請」や「カーボンニュートラル商品・サービスの開発」が購入のきっかけになるケースが多い点が挙げられます。
購入量が少ない場合でも対応可能なプロバイダーやマーケットプレイスを選ぶことが重要です。

地域貢献型クレジットの活用事例
特定地域の森林や農地由来のJ-クレジットを購入することで、地域貢献と排出量オフセットを両立する事例が増えています。
- 長野県有林J-クレジット:県有林から創出されたクレジットを購入する企業が増加。購入企業は長野県のウェブサイトで公表される
- 高知県四万十町の森林クレジット:四万十川流域の森林整備プロジェクト由来。地域の林業振興にも貢献
- 北海道下川町のクレジット:循環型森林経営のモデルケース。FSC認証林由来のクレジット
地域貢献型クレジットは単価が高い傾向にありますが、「創出地域との関係構築」「地域活性化への貢献」といったストーリー性があり、CSRレポートや広報活動に活用しやすいメリットがあります。自社の事業所所在地や取引先地域のクレジットを優先的に購入する企業も見られます。

GX-ETS・SBT対応を目的とした購入事例
2026年度に本格稼働するGX-ETS(排出量取引制度)への対応を見据えて、J-クレジットを事前調達する企業が増えています。
GX-ETS参加企業にとって、J-クレジットは排出枠の一部として使用可能です。2023年度から始まった第1フェーズ(自主参加期間)において、以下のような活用パターンが見られます。
- 製造業大手:年間数万t-CO2規模でJ-クレジットを調達し、GX-ETS排出枠として活用
- 電力・エネルギー:再エネ電力由来クレジットを中心に大量調達し、発電時の排出量をオフセット
- 金融機関:投融資先のScope3排出量オフセットを視野に入れた調達
SBT(Science Based Targets)の目標達成においても、自社削減努力で達成できない部分をJ-クレジットで補完する戦略を取る企業が多くなっています。ただし、SBTにおけるオフセットの扱いには一定のルールがあるため、事前に確認が必要です。
J-クレジットの購入方法4つを比較
J-クレジットを購入する方法は主に4つあります。それぞれの特徴を理解し、自社の調達量や目的に合った方法を選択することが重要です。

| 購入方法 | 特徴 | 向いている企業 | 購入単位の目安 |
|---|---|---|---|
| プロバイダー仲介 | 専門事業者が売り手と買い手をマッチング。手続き代行あり | 初めて購入する企業、手続きを任せたい企業 | 10t-CO2〜 |
| 相対取引 | 売り手と直接交渉して購入。価格・条件交渉の自由度が高い | 特定の創出者から購入したい企業 | 100t-CO2〜 |
| 東証カーボン・クレジット市場 | 取引所で市場価格により売買。流動性が高い | 大量調達が必要な企業、継続的に調達したい企業 | 1,000t-CO2〜 |
| マーケットプレイス | オンラインで複数の売り手から選んで購入できる | 複数の選択肢から比較検討したい企業 | 1t-CO2〜 |
J-クレジット・プロバイダーによる仲介
J-クレジット・プロバイダーは、J-クレジット制度事務局に登録された仲介事業者です。売り手の発掘・条件交渉・契約手続き・クレジット移転まで一括して代行します。
プロバイダー利用のメリットは以下のとおりです。
- J-クレジット取引の専門知識がなくても購入できる
- 購入目的に合ったクレジットの種類を提案してもらえる
- 契約書作成・口座開設などの手続きを代行してもらえる
- 少量(10t-CO2程度)から対応可能なプロバイダーが多い
一方、プロバイダーに支払う手数料(仲介手数料)が発生するため、大量調達の場合は他の方法との比較検討が必要です。

売り出しクレジット一覧からの相対取引
J-クレジット制度事務局のウェブサイトには「売り出しクレジット一覧」が公開されており、売り手と直接交渉して購入できます。
相対取引の流れは以下のとおりです。
- J-クレジット制度事務局の「売り出しクレジット一覧」を確認する
- 希望するクレジットの売り手に連絡を取る
- 価格・数量・支払条件を交渉する
- 売買契約を締結する
- J-クレジット登録簿システムでクレジット移転手続きを行う
相対取引は仲介手数料がかからないため、コストを抑えられるメリットがあります。ただし、売り手との交渉・契約・移転手続きを自社で行う必要があり、ある程度の知識と工数が求められます。
東証カーボン・クレジット市場での取引
2023年10月に開設された東証カーボン・クレジット市場では、J-クレジットを取引所経由で売買できます。市場取引のため、価格の透明性と流動性が高い点が特徴です。
東証市場を利用するメリットは以下のとおりです。
- 市場価格での取引のため、価格交渉の手間が省ける
- 継続的な調達が必要な場合に便利
- 大量調達に対応しやすい
- 取引価格が公開されるため、相場の参考になる
ただし、利用には取引参加者としての登録や証券会社を通じた口座開設が必要です。また、取引単位が比較的大きいため、少量購入には向きません。2026年6月時点の市場価格は、再エネ電力由来で5,000〜6,500円/t-CO2程度で推移しています。
マーケットプレイスの活用
J-クレジットのマーケットプレイスは、オンライン上で複数の売り手から選んでクレジットを購入できるサービスです。近年、民間事業者によるマーケットプレイスが増えており、選択肢が広がっています。
マーケットプレイス利用のメリットは以下のとおりです。
- 複数のクレジットを比較検討できる
- 少量(1t-CO2〜)から購入可能なサービスが多い
- オンラインで手続きが完結するため、購入までのスピードが早い
- クレジットの創出地域・プロジェクト内容を確認して選べる
カーボンリンクのマーケットプレイスでは、J-クレジット・JCM(二国間クレジット制度)・GX-ETS排出枠を一元的に取り扱っており、複数のクレジット種類から選択できます。

J-クレジットを購入できる事業者・サービス一覧
J-クレジットの購入先は、公式登録されたプロバイダーと、民間のマーケットプレイスに大別されます。ここでは主な購入先を一覧で紹介します。
J-クレジット・プロバイダー一覧(公式登録事業者)
J-クレジット・プロバイダーは、J-クレジット制度事務局に登録された仲介事業者です。2026年6月時点で約30社が登録されています【要確認】。以下は主なプロバイダーの一覧です。
| 事業者名 | 特徴 | 取扱クレジットの種類 |
|---|---|---|
| 日本カーボンクレジット株式会社 | 取扱量国内トップクラス。大企業向けの大口取引に強み | 全種類 |
| 株式会社ウェイストボックス | 環境コンサルティングとセットでの提案が可能 | 省エネ・再エネ由来 |
| カーボンフリーコンサルティング株式会社 | カーボンオフセット認証の取得支援も提供 | 全種類 |
| 株式会社エコスタイル | 再エネ事業と連携したクレジット提供 | 再エネ電力由来 |
| クレコ・ラボ | 中小企業向けの少量取引に対応 | 全種類 |
| リコージャパン株式会社 | オフィス機器導入と組み合わせた提案が可能 | 省エネ・再エネ由来 |
| イーレックス株式会社 | 電力小売事業と連携したクレジット提供 | 再エネ電力由来 |
プロバイダーの最新一覧は、J-クレジット制度事務局のウェブサイトで確認できます。プロバイダーによって得意とするクレジットの種類や取引規模が異なるため、複数社に問い合わせて比較することをおすすめします。
出典:J-クレジット・プロバイダー一覧|J-クレジット制度事務局
J-クレジットマーケットプレイス一覧
民間事業者が運営するマーケットプレイスでは、オンラインでJ-クレジットを購入できます。以下は主なマーケットプレイスの一覧です。
| サービス名 | 運営会社 | 特徴 | 最小購入単位 |
|---|---|---|---|
| カーボンリンク マーケットプレイス | カーボンリンク株式会社 | J-クレジット・JCM・GX-ETS排出枠を一元取扱。法人向けに特化 | 1t-CO2〜 |
| sustineri(サスティナリ) | 株式会社sustineri | クレジット購入とオフセット証明書の発行をワンストップで提供 | 1t-CO2〜 |
| e-dash | 三井物産系列 | 排出量算定ツールとクレジット購入を連携 | 1t-CO2〜 |
| booost technologies | booost technologies株式会社 | SaaSプラットフォームとクレジット購入の連携 | 1t-CO2〜 |
マーケットプレイスを利用する際は、取り扱っているクレジットの種類・創出地域・購入手続きの流れ・手数料体系を事前に確認することが重要です。
購入先の選び方のポイント
J-クレジットの購入先を選ぶ際は、以下の5つのポイントを確認しましょう。
- 購入量への対応:少量(10t-CO2未満)から対応可能か、大量調達(1,000t-CO2以上)に対応できるか
- クレジットの種類:購入目的に合った種類(再エネ電力由来・森林吸収由来など)を取り扱っているか
- 手続き代行の範囲:契約書作成・口座開設・無効化手続きなどをどこまで代行してもらえるか
- 価格・手数料の透明性:仲介手数料や諸費用が明確に提示されているか
- 報告書類の対応:温対法報告・CDP報告・GX-ETS対応に必要な書類を提供してもらえるか
初めてJ-クレジットを購入する企業は、手続き代行が充実したプロバイダーやマーケットプレイスを選ぶと安心です。2回目以降の購入や、大量調達を見据える場合は、価格面で有利な東証市場や相対取引も検討しましょう。
J-クレジットの価格相場と今後の見通し【2026年最新】
J-クレジットの価格は需給バランスにより変動します。2026年時点では、GX-ETSの本格稼働を控え、価格上昇傾向が続いています。
種類別の価格相場(再エネ電力・省エネ・森林)
2026年6月時点の価格相場は以下のとおりです。価格は取引時期・取引量・創出地域により変動するため、参考値としてご確認ください。
| クレジットの種類 | 価格相場(円/t-CO2) | 前年比 |
|---|---|---|
| 再エネ電力由来 | 5,000〜6,500円【要確認】 | +15〜20% |
| 省エネ由来 | 3,000〜4,500円【要確認】 | +10〜15% |
| 再エネ熱由来 | 2,500〜4,000円【要確認】 | +10〜15% |
| 森林吸収由来 | 10,000〜18,000円【要確認】 | +5〜10% |
| 農業由来 | 5,000〜10,000円【要確認】 | +10〜15% |
東証カーボン・クレジット市場の取引価格は公開されており、市場価格の参考になります。ただし、市場外の相対取引やプロバイダー経由の取引では、上記と異なる価格になる場合があります。

価格上昇の背景とGX-ETSの影響
J-クレジット価格が上昇している主な要因は、GX-ETSの本格稼働と企業の脱炭素目標強化です。
- GX-ETSの本格稼働:2026年度から排出量取引が本格化し、GX-ETS参加企業によるJ-クレジット需要が増加
- SBT・CDP目標の厳格化:国際イニシアティブの目標水準が引き上げられ、オフセット需要が拡大
- サプライチェーン排出量対応:大企業からサプライヤーへの排出削減要請が強まり、中小企業の購入需要が増加
- クレジット供給量の限界:新規プロジェクトの認証には時間がかかり、供給が需要に追いつかない状況
特にGX-ETSでは、J-クレジットが排出枠の一部として使用可能とされているため、大口需要の増加が価格を押し上げる要因になっています。
調達タイミングの考え方
価格上昇トレンドが続く中、早期の調達を検討する企業が増えています。調達タイミングを判断する際のポイントは以下のとおりです。
- 年度末の駆け込み需要に注意:3月は温対法報告の締め切り前で需要が集中し、価格が上昇・在庫が減少する傾向
- 複数年度分の事前調達:中長期の目標が明確な場合、複数年度分をまとめて購入することでコストを平準化できる
- 価格変動リスクのヘッジ:毎年の調達量を分散し、市場価格の変動リスクを抑える戦略も有効
調達計画を立てる際は、自社の排出量目標・予算・クレジットの使用時期を明確にした上で、プロバイダーやマーケットプレイスに相談することをおすすめします。

J-クレジット購入から活用までの手続きの流れ
J-クレジットの購入から活用までには、購入・無効化・報告の3つのステップがあります。ここでは各ステップの手続きを解説します。

STEP 1. 購入先の選定〜契約
J-クレジットを購入するには、まず購入先を決定し、J-クレジット登録簿システムに口座を開設する必要があります。
- 購入目的の明確化:温対法報告、CDP・SBT対応、GX-ETS排出枠、PR活用など
- 必要量の算定:自社排出量と削減目標のギャップを算出
- 購入先の選定:プロバイダー・マーケットプレイス・相対取引・東証市場から選択
- 口座開設:J-クレジット登録簿システムに口座を開設(初回購入時のみ)
- 売買契約の締結:価格・数量・支払条件・移転時期を合意
- クレジット移転:登録簿システム上で売り手から買い手にクレジットを移転
プロバイダーやマーケットプレイスを利用する場合、口座開設や移転手続きを代行してもらえるケースが多いです。
STEP 2. 無効化手続きの方法
購入したJ-クレジットを排出量のオフセットに使用するためには「無効化」の手続きが必要です。無効化とは、クレジットを使用済みとして消却し、二重使用を防止する処理です。
無効化の手続きは以下の流れで行います。
- J-クレジット登録簿システムにログインする
- 「無効化申請」メニューから手続きを開始する
- 無効化するクレジットの数量・使用用途を入力する
- 申請内容を確認し、送信する
- 無効化完了後、「無効化通知書」をダウンロードする
無効化通知書は、温対法報告やCDP報告の証拠書類として必要になります。無効化の申請から完了までは通常1〜2週間程度かかります。年度末は申請が集中するため、余裕を持ったスケジュールで手続きすることが重要です。
STEP 3. 温対法・省エネ法・CDP/SBTへの報告
無効化したJ-クレジットは、各種報告制度に以下のように活用できます。
| 報告制度 | J-クレジットの活用方法 | 必要書類 |
|---|---|---|
| 温対法(算定・報告・公表制度) | 調整後排出量の算定に使用 | 無効化通知書 |
| 省エネ法 | 原単位の算定に一部活用可能 | 無効化通知書 |
| CDP | Scope 1・2排出量のオフセットとして報告 | 無効化通知書、プロジェクト情報 |
| SBT | 目標超過達成分の報告に活用 | 無効化通知書、プロジェクト情報 |
| RE100 | 再エネ電力由来クレジットを再エネ使用量として計上 | 無効化通知書 |
| GX-ETS | 排出枠として使用 | 無効化通知書、GX-ETS関連書類 |
各報告制度によってJ-クレジットの扱いや報告方法が異なります。特にSBTについては、オフセットの利用に関するルールが設定されているため、事前に確認が必要です。報告書類の作成について不明点がある場合は、購入先のプロバイダーやマーケットプレイスに相談することをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. J-クレジットは最低何t-CO2から購入できますか?
A. マーケットプレイスやプロバイダーを利用すれば、1t-CO2から購入可能です。相対取引の場合は売り手の条件により異なりますが、100t-CO2程度からの取引が一般的です。東証カーボン・クレジット市場では、取引単位が比較的大きく設定されているため、大量調達向けとなります。自社の必要量が少量の場合は、少量取引に対応したプロバイダーやマーケットプレイスを選ぶことをおすすめします。
Q. J-クレジットの購入に必要な初期費用はいくらですか?
A. J-クレジット登録簿システムの口座開設は無料です。必要な費用はクレジットの購入代金と、プロバイダーやマーケットプレイスを利用する場合の仲介手数料です。仲介手数料はサービスによって異なりますが、購入金額の5〜15%程度が目安となります【要確認】。相対取引の場合は仲介手数料はかかりませんが、契約書作成などの事務コストが自社で発生します。
Q. 購入したJ-クレジットに有効期限はありますか?
A. J-クレジット自体に有効期限はなく、無効化するまで保有し続けることができます。ただし、温対法報告やCDP報告で使用する場合は、報告対象年度に合わせて無効化する必要があります。また、GX-ETSで排出枠として使用する場合は、制度が定めるルールに従う必要があります。長期保有を予定している場合でも、制度変更のリスクを考慮して計画的に活用することをおすすめします。
Q. J-クレジットとJCM(二国間クレジット制度)の違いは何ですか?
A. J-クレジットは国内での削減活動から創出されるクレジット、JCMは海外での削減活動から創出されるクレジットです。J-クレジットは日本国内の省エネ・再エネ・森林吸収プロジェクトが対象です。一方、JCMは日本と協定を結んだパートナー国(インドネシア、ベトナム、タイなど29カ国)での削減プロジェクトが対象となります。温対法報告ではどちらも活用可能ですが、CDP・SBTでの扱いは報告要件を確認する必要があります。
Q. J-クレジット購入後、どのくらいで利用できるようになりますか?
A. 購入契約締結後、クレジットの移転手続きが完了すれば即日利用可能です。ただし、初めて購入する場合はJ-クレジット登録簿システムへの口座開設が必要で、開設には1〜2週間程度かかります。プロバイダーやマーケットプレイスを利用する場合は、口座開設の手続きを並行して進められるため、スムーズに購入できます。年度末の報告に間に合わせるためには、余裕を持ったスケジュールで購入手続きを始めることが重要です。
まとめ:J-クレジット購入で自社の脱炭素目標を達成しよう
J-クレジットは、自社の排出削減努力だけでは達成できない脱炭素目標を補完する有効な手段です。本記事のポイントを整理します。
- J-クレジットを購入した企業は大企業から中小企業まで幅広く、温対法報告・CDP/SBT対応・GX-ETS・PR活用など目的は多様
- 購入方法はプロバイダー仲介・相対取引・東証市場・マーケットプレイスの4つがあり、調達量や目的に応じて選択
- J-クレジットの価格は上昇傾向にあり、GX-ETS本格稼働を控えて早期調達を検討する企業が増加
- 購入後は無効化手続きを行い、各種報告制度に活用できる
2026年度のGX-ETS本格稼働を見据え、今から計画的な調達を始めることが重要です。まずは購入目的と必要量を明確にし、信頼できる購入先に相談してください。


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