J-クレジットの購入先は、用途・数量・必要時期をそろえ、費用と手続きの支援範囲を比較して選びます。売り手、プロバイダー、民間サービス、東証市場では、契約相手や自社が担う作業が異なります。
購入代金だけでなく、税・手数料、口座の要否、移転または代理無効化、書類の交付時期を確認します。公開情報にない条件は、各窓口の見積りで確かめてください。
公式登録プロバイダーの一覧を見る
マーケットプレイスの比較表を見る
- 購入先を選ぶための費用・数量・用途・手続き支援の確認点
- 購入窓口と取引方法の関係、契約前の確認点
- J-クレジット・プロバイダーとマーケットプレイスの一覧
- J-クレジットの価格相場と調達タイミングの考え方【2026年最新】
- 購入から無効化・報告までの手続きの流れ
見積りを依頼するときは、用途、数量の目安、希望時期を揃えると購入先を比較しやすくなります。数量や種類が未定なら、一般相談フォームで用途と社内の検討期限からご相談いただけます。
J-クレジットの購入窓口と取引方法を比較
以下は購入先を探す際の窓口と取引方法を並べた比較です。プロバイダーやマーケットプレイスという窓口は相対取引などの方法と重なるため、互いに独立した4経路ではありません。購入方法と手続きでは通常の3つの方法と、募集がある場合の政府保有分の公募を整理しています。

図の縦軸は購入量、横軸は手続きを任せたいか自社で対応したいかを示します。下の表のプロバイダー仲介、相対取引、東証市場、マーケットプレイスを比べる際は、費用と手続きの分担を確認してください。仲介やマーケットプレイスは取引方法と重なる場合があるため、実際の契約相手と条件を個別に確かめてください。
| 窓口・取引方法 | 向いている相談 | 契約前の確認点 |
|---|---|---|
| プロバイダー仲介 | 候補選びと手続き支援を相談したい | 対象用途、手数料、代行範囲 |
| 相対取引 | 創出者を指定し条件を交渉したい | 最低数量、価格、引渡し・無効化の分担 |
| 東証市場 | 公開される市場情報を見て売買したい | 参加要件、取引単位、売買注文の状況 |
| マーケットプレイス | 複数の掲載案件を比べたい | 在庫、最低数量、総額、証憑の内容 |
J-クレジット・プロバイダーによる仲介
J-クレジット・プロバイダーは、制度事務局の登録制度に掲載される事業者です。創出支援と活用支援などの登録区分があり、買い手向けの仲介や手続き支援の範囲は事業者ごとに確認します。
プロバイダー利用のメリットは以下のとおりです。
- 候補の選定や取引手続きについて相談できる場合がある
- 購入目的に合ったクレジットの提案を依頼できる場合がある
- 契約や口座開設について依頼できる範囲を確認する
- 希望する数量への対応と最低注文量を確認する
手数料の有無と内訳、移転や無効化の担当は契約ごとに確認してください。

売り出しクレジット一覧からの相対取引
J-クレジット制度事務局のウェブサイトには「売り出しクレジット一覧」が公開されており、売り手と直接交渉して購入できます。
相対取引の流れは以下のとおりです。
- J-クレジット制度事務局の「売り出しクレジット一覧」を確認する
- 希望するクレジットの売り手に連絡を取る
- 価格・数量・支払条件を交渉する
- 売買契約を締結する
- J-クレジット登録簿システムでクレジット移転手続きを行う
売り手と直接交渉する場合、仲介を利用しない取引では仲介手数料が発生しないこともあります。価格に含まれる費用や移転・無効化の分担は個別に確認し、交渉や手続きに必要な自社の工数も比べてください。
東証カーボン・クレジット市場での取引
2023年10月に開設された東証カーボン・クレジット市場では、J-クレジットを取引所経由で売買できます。市場の価格情報が公表されますが、流動性は銘柄や日によって異なります。
東証市場を利用するメリットは以下のとおりです。
- 市場価格での取引のため、価格交渉の手間が省ける
- 継続的な調達が必要な場合に便利
- 大量調達に対応しやすい
- 取引価格が公開されるため、相場の参考になる
利用には東証市場の参加要件と取引ルールを確認します。売買の成立は注文状況によるため、必要量を希望日に確保できるとは限りません。価格を比較する際は、東証基準値段の日次推移と個別見積りを分けて確認してください。
マーケットプレイスの活用
J-クレジットのマーケットプレイスは、オンライン上で複数の売り手から選んでクレジットを購入できるサービスです。近年、民間事業者によるマーケットプレイスが増えており、選択肢が広がっています。
マーケットプレイス利用のメリットは以下のとおりです。
- 複数のクレジットを比較検討できる
- 最低注文量と希望数量での購入可否を確認できる
- オンラインで扱う手続きと完了までの時期を確認できる
- クレジットの創出地域・プロジェクト内容を確認して選べる
サービスごとに、売主、購入申請後の手続き、必要な口座と書類を確認します。取扱可否・数量・価格・時期は個別に確かめてください。

J-クレジットを購入できる事業者・サービス一覧
この一覧の「購入先」は、クレジットを探す買い手が相談・購入できる窓口です。制度事務局が掲載するプロバイダー、民間サービス、個別の売り手、東証市場は役割が異なります。掲載企業を「J-クレジットを買い取る企業」や「常時在庫を持つ販売者」と同一視せず、各社の取扱対象、契約相手、在庫と取引条件を確認してください。
J-クレジット・プロバイダー一覧(公式登録事業者)
以下は制度事務局の一覧に2026年11月6日時点で掲載されている事業者と、一覧中の支援区分です。掲載内容は変わるため、依頼前に最新情報と個別の支援範囲を確認してください。
制度事務局は、プロバイダーへの登録が事業者の認定・認証を与えるものでも、現在や将来の信頼性を保証するものでもないと明記しています。登録区分は相談先を探す手がかりであり、購入条件や対応範囲は見積りで確認します。
| 事業者名 | 公式一覧の支援区分 |
|---|---|
| 株式会社イトーキ | 活用支援 |
| 株式会社ウェイストボックス | 創出支援・活用支援 |
| 株式会社エスプールブルードットグリーン | 創出支援・活用支援 |
| カーボンフリーコンサルティング株式会社 | 活用支援 |
| クレアトゥラ株式会社 | 創出支援・活用支援 |
| 静銀経営コンサルティング株式会社 | 創出支援 |
| 住友商事株式会社 | 活用支援 |
| 株式会社地域創生Coデザイン研究所(NTT西日本グループ) | 創出支援・活用支援 |
| 株式会社バイウィル | 創出支援・活用支援 |
| Permanent Planet株式会社 | 活用支援 |
| 松村物産株式会社 | 創出支援・活用支援 |
| 一般社団法人more trees | 活用支援 |
プロバイダーの最新一覧は、J-クレジット制度事務局のウェブサイトで確認できます。プロバイダーによって得意とするクレジットの種類や取引規模が異なるため、複数社に問い合わせて比較することをおすすめします。登録区分と買い手向け支援範囲の確認方法はJ-クレジット・プロバイダーの解説にまとめています。
出典:J-クレジット・プロバイダー一覧|J-クレジット制度事務局
民間サービスのJ-クレジット購入条件比較
以下は購入やオフセットを相談できる支援事業者・マーケットプレイスの例です。2026年11月6日の各公開ページを基に整理しており、順位付けではありません。公式一覧に掲載されている事業者と、ここでは登録状況を確認していないサービスが含まれます。「要確認」は提供していないという意味ではありません。
| サービス | 公開されている購入条件 |
|---|---|
| Sustineri | 目的・予算に応じた選定と調達を支援。Susportで購入履歴管理・証明書発行が可能。特商法表記の対象デジタルサービスは販売価格以外の送料・決済手数料なし。個別相談の費用、最低数量、口座・無効化と時期は要確認。 |
| e-dash | カートで注文後、手配を経て書類がメールで届く。掲載商品の一例は税込単価を表示。J-クレジットは制度事務局の無効化通知書・トランザクション明細情報、ボランタリーは同社発行の証明書。手数料、最低数量、口座、交付時期は要確認。 |
| ウェイスト | CFP・LCA算定やオフセット支援を提供し、算定結果に応じたクレジットの選定・提案と無効化手続きを案内。紹介ページからは販売価格・税・手数料、最低数量、口座、購入時の書類と時期は確認できず。 |
| more trees | 森林由来のオフセットを扱う。用途・数量・希望完了時期を聞いて提案・見積り、申込み、入金確認後に手続き。希望者には完了後に証書を発行。価格・税・手数料、最低数量、口座と完了までの期間は要確認。 |
Sustineriの特商法表記では、Shopifyアプリの支払いはShopify App Billing、同社のその他のサイト上で販売するクレジットはクレジットカードと区別されています。販売価格以外の手数料に関する記載はそのデジタルサービスの条件であり、個別コンサルティングの見積り全般に適用されるとは限りません。
e-dashの画面には税込単価を表示した商品がありますが、その表示は特定商品の例です。別案件の価格や最低注文数量を意味するものではありません。J-クレジットとボランタリークレジットでは受け取る書類が異なるため、提出先が求める書類を注文前に照合します。
ウェイストボックスの紹介ページは排出量の算定から選定・無効化までの支援を説明しています。店頭価格や購入の最低量を示す販売条件表ではないため、クレジット代と算定・手続きの費用をそれぞれ見積りで確認してください。
more treesでは森林由来のクレジットを使うオフセットについて、目的、量、完了希望時期を伝えて提案を受けます。希望者に発行される「証書」と、制度事務局の無効化通知書は同じものと決めつけず、必要な書類の種類と受領日を確認します。
自社サービスの参考:Carbon Offset Desk(カーボンリンク)。無料の会員登録後に案件ごとの単価と残数量を確認できます。利用対象は法人・団体で、利用規約への同意と登録申請に対する当社の承認が必要です。案件ごとの数量、単価や引渡条件は個別に定めます。
J-クレジットは、カーボンリンクが登録簿上の無効化を代行するため、お客様自身の登録簿口座がなくても購入から通知書の受領まで進められます。制度管理者名義の通知書の宛名・口座番号はカーボンリンクで、「クレジット利用法人名」欄にお客様の法人名が記載されます。提出先が求める名義や書類に合うか、事前に確認してください。
購入から無効化通知書までの標準は5〜10営業日ですが、案件や数量により前後します。公表された一律の最低数量や、すべての案件での在庫・価格・利用適格性の保証はありません。JCMの契約、受渡しと制度上の手続きは案件ごとに確認します。
利用規約では銀行振込の手数料を会員負担とし、税の取扱いを見積書または請求書に明記するとしています。購入申込みの前に、代金、税、振込手数料、引渡条件を合わせて確認してください。
購入先の選び方のポイント
購入先を比較する前に、買い手として用途、必要数量、希望時期、希望する種類・地域をそろえます。次の5項目に加えて、契約・請求・登録簿上の移転を誰が行い、誰が無効化するかを確認してください。制度事務局の掲載、サービス紹介、見積りは、それぞれ確認できる範囲が異なります。
- 購入量への対応:少量(10t-CO2未満)から対応可能か、大量調達(1,000t-CO2以上)に対応できるか
- クレジットの種類:購入目的に合った種類(再エネ電力由来・森林吸収由来など)を取り扱っているか
- 手続き代行の範囲:契約書作成・口座開設・無効化手続きなどをどこまで代行してもらえるか
- 価格・手数料の透明性:仲介手数料や諸費用が明確に提示されているか
- 報告書類の対応:温対法報告・CDP報告・GX-ETS対応に必要な書類を提供してもらえるか
見積りは、クレジット単価だけで比べず、購入代金に手数料と税を加えた総額を確認します。代理無効化や通知書の交付を依頼する場合は、それらが見積りに含まれるかも揃えてください。
比較する際は、必要数量を購入できるかに加え、最低数量が決まっているかを尋ねます。単価が1トン当たりで表示されていても、それだけでは最低注文量は分かりません。数量を変更した場合の総額と、見積りの有効期限も確認します。
自社の登録簿口座へ移転する場合と、事業者に代理無効化を依頼する場合では、自社が行う手続きと書類の名義が異なります。誰が登録簿で操作するか、通知書や事業者発行の証明書のどちらを受け取るか、提出先が受け付けるかを先に確かめてください。
必要日は、契約や入金の日だけでなく、無効化と書類受領の期限まで伝えます。公開ページに標準日数がある場合も案件ごとに前後し得るため、社内決裁の時間を含めた予定を見積先とすり合わせます。
カーボンリンクへの相談では、候補ごとに種類、地域、数量、希望時期を確認し、取引できる条件をお返しします。地域などの希望条件で選ぶ案と、予算に収まる候補から選ぶ案を比較したい場合は、優先する条件と変更できる条件をお知らせください。
J-クレジットとは?購入を検討する企業が押さえるべき基本
J-クレジットは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの活用によるCO2削減量を国が認証する制度です。環境省・経済産業省・農林水産省が共同で運営しており、2013年度の制度開始以来、累計1,100万t-CO2以上のクレジットが認証されています。
購入したクレジットは無効化し、各制度の要件に沿って温対法報告や自主的なカーボンオフセットに活用します。SBTの短期・長期削減目標の達成実績に、カーボンクレジットを算入することはできません。目標に向けた自社・バリューチェーン内の削減と、バリューチェーン外の緩和への貢献(BVCM)は区別します。出典:SBTi公式FAQ。
J-クレジット制度の仕組みとカーボンオフセットの考え方
J-クレジット制度は「削減を実施した事業者」と「削減量を必要とする事業者」をつなぐ国内の炭素市場です。制度の流れは以下のとおりです。

- 省エネ設備導入や森林整備などのプロジェクトを実施する
- J-クレジット制度事務局に申請し、第三者機関の審査を受ける
- CO2削減量・吸収量がクレジットとして認証される
- 認証されたクレジットを売却し、購入企業がオフセットに活用する
カーボンオフセットとは、自社の排出量を削減する努力を行った上で、削減しきれない排出量をクレジットの購入で埋め合わせる考え方です。「まず削減、残りをオフセット」という順序が国際的にも求められています。

J-クレジットの種類(省エネ・再エネ電力・再エネ熱・森林・農業由来)
J-クレジットは主に5つの種類に分類されます。種類によって価格や用途が異なるため、購入目的に合わせた選択が重要です。
| 種類 | 主な創出方法 | 購入前の確認点 |
|---|---|---|
| 省エネ | 高効率ボイラー・空調設備 | 温対法等の用途、数量、認証時期 |
| 再エネ電力 | 太陽光・風力等 | RE100等の電源・地域・発電時期の要件 |
| 再エネ熱 | バイオマスボイラー等 | 電力由来との用途の違い |
| 森林 | 森林経営・植林 | 地域、プロジェクト内容、証憑 |
| 農業 | 水田メタン削減・バイオ炭等 | 方法論、数量、引渡し時期 |

再エネ電力由来を報告に用いる場合は、対象年度や電力属性など提出先の条件を確認します。森林吸収由来も、地域や活動内容に加えて、用途に必要な証憑と個別見積りを確かめてください。

J-クレジット購入が企業にもたらす5つのメリット
J-クレジットの購入は、排出量の相殺だけでなく、複数のビジネスメリットをもたらします。
- 温対法・省エネ法の報告への活用:温対法の算定・報告制度において、J-クレジットで調整後排出量を減らせる
- 用途に応じた開示・再エネ利用への活用:CDPでは報告項目に沿って開示し、RE100では電源・地域・発電時期等の要件を確認する。SBTの削減目標にクレジットは算入できない
- GX-ETSでの活用:J-クレジットとJCMクレジットを合計し、無効化前の実排出量の10%を上限として、制度の要件に沿って利用する
- 企業評価・ESG投資での評価向上:カーボンオフセットの取り組みは、ESG評価機関やサプライチェーンからの評価向上につながる
- 地域貢献・PR効果:特定地域のクレジット購入により、地域の環境保全活動を支援し、CSR・広報に活用できる
制度利用を検討する場合は、対象年度の要件と必要な手続きを確認したうえで、調達条件を整理します。
購入目的に応じた確認事項
購入先を選ぶ前に、用途と提出先、必要数量、必要日を整理します。公開資料を参考にするときも、自社の条件に合うかは別に確認してください。
公開資料を読むときの確認点
以下は従来掲載していた参照先です。購入の事実、対象クレジットや用途は各資料の内容と時点を確認し、自社の購入条件と区別してください。
| 参照先 | 確認する内容 |
|---|---|
| 制度事務局の資料 | 対象・用途・公表時期 |
| NTT西日本の資料 | 対象・用途・公表時期 |
| SMFGの資料 | 対象・用途・公表時期 |
| 大和ハウス工業の資料 | 対象・用途・公表時期 |
| 日本郵船の資料 | 対象・用途・公表時期 |
公開資料の用途や数量を、そのまま自社の必要条件に置き換えることはできません。RE100の要件確認と、SBTの削減目標への算入可否も別の論点です。
数量と用途の整理
数量が決まっていない場合は、算定中であることと数量を決める予定日を伝えます。
| 項目 | 購入先への確認 |
|---|---|
| 用途 | 提出先と対象年度に合う条件を確認 |
| 数量 | 希望数量と最低注文量を確認 |
| 時期 | 移転または無効化と書類交付の希望日を確認 |
取引先に書類を提出する場合は、必要な記載事項と提出期限を先に確認します。
購入量が少ない場合でも対応可能なプロバイダーやマーケットプレイスを選ぶことが重要です。

地域やプロジェクトを指定する場合
地域や活動内容を重視する場合は、希望条件を購入先に伝え、対象案件の情報を確認します。
- 地域:希望する地域と変更できる範囲を伝える
- プロジェクト:活動内容と認証番号を確認する
- 書類:提出先に必要な情報を確認する
地域や種類の希望だけで価格や用途への適合は決まりません。候補ごとの数量、総額、引渡し時期と書類を確認してください。

GX-ETSへの活用とSBT目標との区別
GX-ETSへの利用を検討するときは、対象年度の制度要件を確認します。
購入前に確認する項目は次のとおりです。
- 対象年度の利用要件と上限
- クレジットの対象と必要数量
- 無効化と制度上の手続き、必要な書類と期限
SBTの短期・長期削減目標の達成実績に、カーボンクレジットを算入することはできません。クレジットによるBVCMへの貢献は、SBT目標の達成とは分けて検討・報告します。出典:SBTi公式FAQ。
J-クレジットの価格相場と今後の見通し【2026年最新】
J-クレジットの価格は需給や用途によって変動します。価格ハブで基準日と区分を確認し、購入判断には同じ条件の見積りを用います。
種類別の価格相場(再エネ電力・省エネ・森林)
価格は種類、数量、引渡し時期、取引条件で変わります。日次の市場情報と、実際に購入する案件の見積りを分けて確認してください。
| 価格の種類 | 確認先・比較条件 |
|---|---|
| 東証の基準値段 | 日次更新の9区分・価格推移で基準日を確認。個別の約定価格とは異なります |
| 個別の購入見積り | 用途・種類・数量・引渡し時期を揃え、手数料・無効化費用・税の扱いを比較 |
| 複数年の調達条件 | 年度別の数量・価格決定方法・供給できない場合の扱いを確認 |
東証カーボン・クレジット市場の取引価格は公開されており、市場価格の参考になります。ただし、市場外の相対取引やプロバイダー経由の取引では、上記と異なる価格になる場合があります。

価格変動とGX-ETSの関係
J-クレジットの価格は、用途に適合するクレジットへの注文と供給によって変動します。GX-ETSの制度変更だけから、現在の価格上昇や需要増加を断定することはできません。
- GX-ETSの利用条件:対象年度に利用できるクレジットと利用上限を確認し、実際の調達量を検討する
- 開示と用途別の条件確認:CDP等の開示要件と、SBT目標外のBVCMへの貢献を分けて検討する
- サプライチェーン排出量対応:自社の排出削減とクレジットによる貢献を区別し、取引先の要請に適合する用途かを確認する
- 希望するクレジットの供給確認:基準値段とは別に、必要な種類と数量を希望時期に確保できるか確認する
GX-ETSの排出枠とJ-クレジットは異なる商品です。J-クレジットの活用には制度上の条件があり、利用可能な枠がそのまま購入需要になるわけではありません。用途に適合するクレジットへの注文が増え、供給が追いつかなければ、その区分の価格が上がる可能性があります。
調達タイミングの考え方
調達時期は、購入目的、必要量、利用期限と予算を基に決めます。基準値段だけで買い時を判断せず、次の条件をそろえて見積りを比較してください。
- 利用期限から逆算する:自社の報告や利用の期限を確認し、移転や無効化に必要な時間を見込む
- 複数年度分の調達条件:年度別の必要量を整理し、単発の購入と複数年契約の価格決定方法、引渡し条件を比較する
- 総額と価格見直し条件:手数料、移転費用、代理無効化費用、税の扱いをそろえ、分割調達や価格見直し条項も検討する
調達計画を立てる際は、用途、必要量、引渡しと無効化の希望時期、総額の予算を明確にし、プロバイダーやマーケットプレイスに同じ条件で見積りを依頼してください。

J-クレジット購入から活用までの手続きの流れ
J-クレジットの購入から活用までには、購入・無効化・報告の3つのステップがあります。ここでは各ステップの手続きを解説します。

STEP 1. 購入先の選定〜契約
購入先との契約前に、自社口座へ移転して保有するか、購入先に代理無効化を依頼するかを決めます。自社で保有する場合は、J-クレジット登録簿システムの口座が必要です。
- 購入目的の明確化:温対法報告、CDP開示、GX-ETSへの活用、自主的なオフセットなど
- 必要量の算定:自社排出量と削減目標のギャップを算出
- 購入先の選定:プロバイダー・マーケットプレイス・相対取引・東証市場から選択
- 口座と手続きの確認:自社保有なら口座を用意し、代理無効化なら購入先の対応範囲を確認
- 売買契約の締結:価格・数量・支払条件・移転時期を合意
- 移転または代理無効化:契約した方式で手続きを進め、記録を確認
購入先に依頼する業務と、自社で行う算定、社内承認、対外発信の確認を分けます。決裁前の比較資料には、候補を選んだ理由、購入総額、実施日程、受け取る証憑をまとめると、関係部署が条件を確認しやすくなります。
STEP 2. 無効化手続きの方法
購入したJ-クレジットを排出量のオフセットに使用するためには「無効化」の手続きが必要です。無効化とは、クレジットを使用済みとして消却し、二重使用を防止する処理です。
無効化の手続きは以下の流れで行います。
- J-クレジット登録簿システムにログインする
- 「無効化申請」メニューから手続きを開始する
- 無効化するクレジットの数量・使用用途を入力する
- 申請内容を確認し、送信する
- 無効化完了後、「無効化通知書」をダウンロードする
無効化通知書と提出先が求める書類を照合します。自社で手続きする場合も代理を依頼する場合も、無効化と通知書交付の予定日を確認し、提出期限から逆算してください。
STEP 3. 温対法・省エネ法・CDP/SBTへの報告
無効化したJ-クレジットは、各種報告制度に以下のように活用できます。
| 報告制度 | J-クレジットの活用方法 | 必要書類 |
|---|---|---|
| 温対法(算定・報告・公表制度) | 調整後排出量の算定に使用 | 無効化通知書 |
| 省エネ法 | 原単位の算定に一部活用可能 | 無効化通知書 |
| CDP | Scope 1・2排出量のオフセットとして報告 | 無効化通知書、プロジェクト情報 |
| SBT | 短期・長期の削減目標にクレジットは算入不可。BVCMは別途検討 | 目標達成の削減実績と区別して記録 |
| RE100 | 再エネ電力由来クレジットを再エネ使用量として計上 | 無効化通知書 |
| GX-ETS | 制度要件と上限の範囲内で、無効化量を実排出量から控除 | 無効化通知書、GX-ETS関連書類 |
報告・利用の可否は、対象クレジットと各制度の最新要件を照合して確認します。SBTの短期・長期削減目標の達成実績に、カーボンクレジットを算入することはできません。出典:SBTi公式FAQ。書類の作成・確認の責任分担も、契約前に購入先と整理してください。
よくある質問(FAQ)
Q. J-クレジットは最低何t-CO2から購入できますか?
A. 最低購入数量は購入先や案件によって異なるため、希望する数量で購入できるかを見積もり時に確認してください。円/t-CO₂の表示は価格の単位であり、最低注文量ではないため、手数料や税を含む総額と引渡し時期も合わせて確認します。
Q. J-クレジットの購入に必要な初期費用はいくらですか?
必要な費用は、クレジット購入代金に加え、仲介・移転・無効化など依頼する手続きの費用です。手数料と税の扱いを含めた総額で見積りを比較してください。相対取引では、自社で行う契約・移転等の事務負担も確認します。
同じ用途と数量でも、希望する地域、種類、納期によって候補と価格は変わります。比較時点を揃え、見積りの有効期限も確認してください。単価の差がクレジットの違いによるものか、含まれる手続きの違いによるものかを購入先に確認すると、総額の理由を社内で説明できます。
Q. 購入したJ-クレジットに有効期限はありますか?
A. J-クレジット自体に有効期限はなく、無効化するまで保有し続けることができます。ただし、温対法報告やCDP報告で使用する場合は、報告対象年度に合わせて無効化する必要があります。また、GX-ETSで排出枠として使用する場合は、制度が定めるルールに従う必要があります。長期保有を予定している場合でも、制度変更のリスクを考慮して計画的に活用することをおすすめします。
Q. J-クレジットとJCM(二国間クレジット制度)の違いは何ですか?
A. J-クレジットは国内での削減活動から創出されるクレジット、JCMは海外での削減活動から創出されるクレジットです。J-クレジットは日本国内の省エネ・再エネ・森林吸収プロジェクトが対象です。一方、JCMは日本と協定を結んだパートナー国(インドネシア、ベトナム、タイなどの国)での削減プロジェクトが対象となります。温対法報告ではどちらも活用可能ですが、CDPでは報告要件を確認します。SBTの短期・長期削減目標の達成実績に、カーボンクレジットを算入することはできません。
Q. J-クレジット購入後、どのくらいで利用できるようになりますか?
A. 契約、支払い、移転または代理無効化、書類の交付にかかる期間は条件によって異なります。自社口座への移転と、事業者による代理無効化を区別し、必要な書類と期限を購入先に確認してください。
まとめ:用途・数量・時期を揃えてJ-クレジットの購入先を比較
J-クレジットは、自社の排出削減努力だけでは達成できない脱炭素目標を補完する有効な手段です。本記事のポイントを整理します。
- 用途と提出先の要件、数量、書類が必要な日を先に整理する
- 売り手、プロバイダー、民間サービス、市場は窓口と取引方法が重なるため、契約相手と手続きの分担を確認
- 価格ハブの基準日・区分を確認し、同じ用途・数量・時期の見積りを比較する
- 購入後は無効化手続きを行い、各種報告制度に活用できる
カーボンリンクでは、用途と希望条件を伺い、候補と価格、数量、引渡し時期を個別に確認してご案内します。代理無効化や証憑が必要な場合は、その対応範囲も確認します。確認中の事項は確定した取引条件と分けてお伝えします。
